キプロス、第2位銀行を整理 預金課税の代替案
【ニコシア(キプロス)=御調昌邦】地中海の島国キプロスの支援を巡り、同国中銀のデメトリアデス総裁は21日、金融機関の無秩序な破綻を回避するための整理・再建策を盛り込んだ法案を公表し、同国第2位の銀行に適用する考えを表明した。欧州連合(EU)のユーロ圏諸国などが求めた銀行預金課税に代わる案の一環で、金融支援の同意を取り付けるうえで有効に働く可能性がある。
同総裁は大統領府で声明を読み上げ「(銀行の)整理によって金融システムの破綻を回避できる」と指摘。経営が悪化している同国第2位のキプロス・ポピュラー(ライキ)銀行に整理策を適用すると明らかにした。同銀行グループの資産は2012年9月末で約300億ユーロ(約3兆6000億円)。
欧米メディアによると、優良資産からなる健全銀行と、不良資産を集めた「バッド・バンク」に分割し、健全銀行は最大手のキプロス銀行に移すとみられる。
同総裁は、整理策を実施しなければ、キプロス・ポピュラー銀行は即座に破綻するとの見方を示した。整理策について10万ユーロまでの預金は全額保護されると明言したが、それ以上の金額の扱いは明確にしなかった。
大手銀行を整理することで、そのまま存続させて救済するよりも公的資金が少なくて済み、キプロス政府にとっては資金を捻出したのと同じ効果があるとみられる。欧州委員会の報道官は、キプロスが銀行の整理・再建策を打ち出したことを基本的に歓迎した。
キプロス国内が反発する預金課税について、代替財源を求めるユーロ圏は21日、財務相による電話協議を実施。「キプロス政府が示す新たな提案について協議する用意がある」とし、国内調整を急ぐように求めた。