原発再稼働遅れれば料金25%上昇 経産省試算
経済産業省は27日、エネルギー基本計画をつくる基本政策分科会を開いた。原子力発電所の再稼働が遅れれば家庭の電気料金は今より25%上がると試算。原発1基が1年間に発電する電力量を住宅用太陽光パネルで賄うには、東京都内のほぼ全ての戸建て住宅に相当する175万戸に導入する必要があると指摘した。
政府は年内に新しいエネルギー政策の枠組みをつくる方針。民主党政権が打ち出した「2030年代に原発の稼働ゼロ」をゼロベースで見直し、現実的な計画を示す。
27日はエネルギーを巡る国際情勢や経済への影響などを中心に話し合った。「原発の安全性を確保したうえでエネルギー構成のバランスをとる必要がある」(西川一誠・福井県知事)、「20~30年後を見据えた場合、原発は本当に40年の運転制限でいいのか」(山名元・京大原子炉実験所教授)などの意見が出た。
米国や欧州など先進国では2000年前後からエネルギーの輸入量が増え、燃料の自給率が徐々に低下していると指摘。原発を活用すれば自給率は10%改善するとした。
日本の12年度のエネルギー構成をみると、石炭や石油、液化天然ガス(LNG)など化石燃料の割合は86%。第1次石油危機が起きた1973年度の74%を上回る高水準になった。電力各社の13年度の燃料費は東日本大震災前と比べ、原発停止分だけで3.8兆円膨らむ。国民1人当たり約3万円の負担増になる。
原発1基(出力100万キロワット)の年間発電量をほかの代替燃料で賄うにはどれだけ必要か、との試算も示した。LNGだと95万トン、石油だと155万トン、石炭だと235万トンになる。一方、国内の民間在庫はLNGが13日分、石油が67日分、石炭が33日分にとどまり、海外への依存度をいかに減らすかが課題になる。
茂木敏充経産相は27日の閣議後の記者会見で「今までは月1回程度の開催だったが、9、10月で3回ほど開きたい」と、年内の計画策定へ議論を速める考えを表明した。