漏洩タンク付近で基準超えるトリチウム 福島第1
福島第1原子力発電所のタンクから汚染水が漏れた問題で東京電力は11日、漏れたタンクの近くで採取した地下水から、トリチウム(三重水素)を1リットル当たり6万4千ベクレル検出したと発表した。
東電は「漏洩の影響の可能性が高い」と説明。トリチウムは生物への影響が低いとされるが、他の放射性物質を含む汚染水が付近の土壌で拡大しているとみられている。
トリチウムが検出されたのは、8月に300トンの汚染水漏れが発覚したタンクの北側約20メートルにある観測用井戸。原子力施設からの放出限度である同6万ベクレルを上回る。
今回トリチウムが検出されたのは地下3メートル付近で、地下水脈がある地下7メートルまでは達していないもよう。9日には同じ井戸から1リットルあたり3200ベクレルのストロンチウムなどの放射性物質を検出している。
東電は汚染水の増加を防ぐため、汚染前の地下水をくみ上げて放流する対策を計画している。くみ上げ用井戸は、今回トリチウムが検出された観測用井戸に近い。放流計画に影響を及ぼす可能性もある。
大量漏洩のあったタンクに残っていた汚染水はすでに他のタンクに移送済み。東電は11日、問題のタンクを解体して漏洩の原因を詳しく調べる計画を示した。汚染水が染み込んだとみられる土壌の除去も進めている。