慶応大、iPS由来細胞のがん化可能性判定する新手法
慶応義塾大学の岡野栄之教授らは、iPS細胞から作製した神経細胞のもとになる神経前駆細胞ががんになる可能性があるかを判定する新しい方法を見つけた。細胞の増殖などに関連した55個の遺伝子が活発に働いているかどうかを指標にする。iPS細胞を使った脊髄損傷の治療研究などに役立てたい考えだ。
神経前駆細胞の55個の遺伝子を調べ、すべてが活発に働けばがん化のリスクが高いと判断する。ゲノム(全遺伝情報)の網羅的な解析よりも簡便に見分けられる。
動物実験で、細胞の遺伝子解析結果とがん化の有無を比べた。がん化する細胞は、しない細胞に比べてこれらの遺伝子の働きを示す活性がいずれも5倍以上高かった。
iPS細胞から作った細胞を安全に使うため、品質の判定法などを国際標準化する動きが出ている。新手法は一つのモデルになる可能性もある。