立川断層帯、工事跡を活断層と誤認 東大地震研
東京都武蔵村山市などの工場跡地で活断層「立川断層帯」の現地調査をしている東京大地震研究所は28日、地中に埋まっていたコンクリート構造物を地震の際にできた石と誤認していたと発表した。同研究所は2月に公表した「活断層を確認した」とする見解を撤回、「掘削した範囲では確認できなかった」とした。
佐藤比呂志教授は同日の記者会見で「社会に混乱を与えた。大変申し訳ない」と陳謝した。調査の途中段階で拙速に判断したことに対して批判が出そうだ。ただ、立川断層帯の存在そのものは否定されず、さらに深い地下に潜んでいる可能性があるという。
同研究所は断層帯のほぼ中央に位置する日産自動車村山工場跡地に長さ250メートル、深さ10メートルの試掘溝(トレンチ)を掘削して調査している。
立川断層帯はこれまで上下にずれる「逆断層」とされてきたが、同研究所は2月に現地を公開した際、「凝灰岩とみられる石が垂直方向に並んでいるのを見つけた」として、こうした現象が起こりやすい「横ずれ断層」の可能性が高いと説明していた。
その後、土木関係者から「コンクリートではないか」との指摘があり、さらに数メートル掘り進めた。地層のずれや石の動きとみられていた痕跡が途絶えたことなどから、活断層ではないと判断を修正した。
コンクリート構造物は風化して非常に軟らかくなっており、凝灰岩と見間違いやすかったという。この場所にあった工場の基礎工事で打ち込まれたコンクリート製のくいだった可能性がある。
東京都が過去に実施した調査では、断層帯の地下に活断層が存在することが確かめられている。東大は今後、断層の南部を重点的に調査し、掘削のほか、人工地震を起こして揺れの伝わり方から地下の様子を推定する物理探査などを手がける。