性的虐待で賠償訴訟「時の壁」争点 16日地裁判決
幼少期の性的虐待で心的外傷後ストレス障害(PTSD)になったとして、北海道釧路市出身の30代の女性が親族の男性に約3200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が16日、釧路地裁(河本晶子裁判長)で言い渡される。争点の「時の壁」をどう判断するのか。女性は「被害者に希望を」と救済を願っている。
訴状などによると、女性は3~8歳の時に男性から性的虐待を受けた。当時の光景が突然よみがえるフラッシュバックなどに今も苦しむが「できるだけ思い出さないようにし、誰にも話さないと決めて生きてきた」。
転機は2011年の東日本大震災。津波の映像を見て「死にたいとばかり考えていた自分が生きていて、一生懸命生きてきた人たちが死んだ。過去と向き合い、納得できる人生を送ろうと目が覚めた」と医師に告白。診断で虐待が原因のPTSDと初めて分かった。男性と話し合いの場を持ったが反省はみられず「真実を明らかにしたい」と、11年4月に提訴した。
訴訟は、男性側が加害行為の一部を認め、賠償請求権の時効(3年)や除斥期間(権利が行使できる期間、20年)の起算点が主な争点となった。
起算点について、男性側は「最後に加害行為があった1983年で、請求権はない」と主張。女性側は「PTSDと診断され、加害行為と被害の関係をはっきりと認識した11年だ」と反論した。
提訴から約2年。「この国が児童性的虐待やPTSDをどうとらえているのか、その現実を知りたい。希望が与えられる判決を勝ち取りたい」と願っている。〔共同〕