タカタ製エアバッグ、リコール拡大続く
米運輸省の高速道路交通安全局（NHTSA）は18日、タカタ製エアバッグの欠陥に関するリコール（回収・無償修理）を全米規模に広げるよう、自動車メーカーに指示したと発表した。これまでに米国では780万台超をリコールしているが、NHTSA幹部は「数百万台が（新たな）リコールの対象となる」と表明した。
異常破裂で死亡事故
タカタのエアバッグは作動時に異常な爆発を起こし、金属片がドライバーなどに刺さる死亡事故が確認されている。こうした現象が高温多湿な地域で起こりやすいことが分かっている。
ホンダは13日、小型セダン「シビック」など5車種にタカタ製エアバッグを巡る不具合があるとして、世界で17万699台をリコール（回収・無償修理）すると発表した。タカタ製品に関連するホンダのリコールは2008年以降で10回目となる。7月にマレーシアで死亡事故が起き対象を広げた。
運転席用エアバッグを膨らますガス発生剤の製造工程に問題があり、作動時に異常破裂する恐れがある。マレーシアの事故では、この欠陥が原因でセダン「シティ」（03年型）を運転していた女性が死亡した。
タカタ製エアバッグを巡っては、世界の完成車メーカーが08年以降で合計1600万台を超えるリコールを実施済み。今回の不具合はこれまで報告されたケースとは別の原因で発生している。
2008年から不具合やまず
2008年に問題が表面化後、不具合がやまず、公聴会で徹底的に追及される事態にまで発展した。影響が広がれば、日本勢にとって重要な北米事業に暗雲が垂れこめかねない。
10月には運輸省高速道路交通安全局（NHTSA）が「対象車両の保有者は直ちにリコールに応じるように」と声明を出すなど、異例の事態だ。不信感の背景には不具合への批判だけでなく、リコールが何度も追加されていることがある。
米国で問題深刻
08年以降、世界で1600万台超がリコールされた。米国で騒動が広がったのはフロリダ州の自動車事故でエアバッグの破片が女性の喉を貫通し、10月2日に死亡した後だ。
米検察当局が本格捜査を始めれば、09～10年のトヨタの品質問題と同様の事が起きかねない。トヨタは執行猶予にあたる訴追延期合意処置を受ける代わりに12億ドルの制裁金を支払った。
米国ではタカタやホンダを相手に集団訴訟を起こす動きも出てきた。米国の製造物責任訴訟に詳しい弁護士は「異常な破裂で被害が発生するという今回の現象は分かりやすく、政府の調査や訴訟の展開も早いはず」と見る。
エアバッグ大規模リコール 「タカタ問題」米で深刻（10月25日）部品共通化でリスク拡大
タカタの2015年3月期連結業績は、最終的なもうけを示す最終損益が260億円前後の赤字（前期は111億円の黒字）になる見通しとなった。従来予想（240億円の赤字）より赤字幅が拡大する。
今後、リコール対象が広がれば赤字幅がさらに膨らむ可能性もある。
自動車各社は部品の共通化を進めている。大量調達で部品のコストが下がり「価格競争力などの面でメリットが大きい」（国内大手）ためだ。しかし、こうした取り組みがリコールの規模がメーカーや地域を越えて大規模になる一因になっている。
車4社リコール延べ892万台 タカタ製エアバッグ原因（6月23日）春割ですべての記事が読み放題
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