TPP交渉「日本参加は利益」 11カ国、大筋合意へ
【スラバヤ(インドネシア中部)=羽田野主】米国やオーストラリアなど環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加11カ国は19日、インドネシアのスラバヤでTPP閣僚会合を開く。「日本の交渉参加は全交渉国の利益になる」との認識でおおむね一致し、大筋で参加を認める。関係国が日本の参加で合意すれば米政府は議会に通知し、国内手続きに入る。日本が最短で7月に交渉入りする環境が整いつつある。
アジア太平洋地域で巨大な経済圏となるTPPは、参加国の経済・貿易構造を大きく変える可能性がある。7月の交渉会合はマレーシアで開く方向で調整が進んでおり、日本が参加する最初の交渉会合になる可能性が高い。
日本がTPP交渉に加わるには全11カ国の合意が必要だ。甘利明経済財政・再生相は19日にインドネシアを訪れ、TPP閣僚会合に先立ち、日本の交渉参加への支持を表明していないカナダのエド・ファスト国際貿易相、豪州のエマーソン貿易相、ニュージーランドのグローサー貿易相らとそれぞれ会談し、支持を訴えた。
日本は12日に米国の同意を得ている。支持を未表明だった国のうち豪州、ニュージーランドは日本の参加を支持したが、カナダは異論を唱えており、調整中だ。経財相は会談後、記者団に「いずれの会談でもアジア太平洋地域の貿易・投資ルールを作っていくパートナーとして協力することを確認した。非常に有意義だった」と語った。
日本が参加する時期は最も早くて7月下旬になる。米国には新たな交渉参加国を認めるために米議会で90日間以上議論するルールがある。米通商代表部(USTR)はカナダが日本参加に同意する時期を見極めて議会に通知する。
経財相は19日、米政府でTPPを担当するUSTRのマランティス代表代行とも会談し、日本の参加を各国が支持するように協力を要請。マランティス代表代行は「米国としてできる努力はする」と応じた。
交渉参加国は7月会合の次は9月に閣僚会合を開く。10月にはアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議にあわせてTPP首脳会合も開く方針。ここで大筋合意にこぎつけ、年内に妥結する段取りを描く。