中国、景況感の陰り鮮明 製造業指数50.1に低下
6月
【北京=大越匡洋】中国政府公認の物流業界団体、中国物流購入連合会が1日発表した6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.1で、景気判断の節目の50を9カ月連続で上回った。ただ、5月に比べて0.7ポイントの大幅な低下。調査対象に中小企業が多い民間調査は50を下回っており、景況感の陰りが強まっている。
PMIは全国の製造業3千社へのアンケート調査をもとに算出。受注や生産などについて50を上回れば拡大、下回れば縮小を示す。
6月の調査を項目別にみると、生産指数は52.0と、前月比1.3ポイント低下。前月よりも生産を増やした企業の比率は24.3%で、5月に比べ4.2ポイント減少した。鉄鋼など基幹産業は生産能力の過剰を抱えており、需要の伸び悩みで在庫が積み上がっている。
新規受注指数も50.4と、前月比1.4ポイント低下した。国内消費は底堅いものの、外需の伸び悩みで輸出の勢いが鈍っている。新規受注が前月より増えた企業の比率は21.8%と5月に比べ4ポイント低下したという。
企業の規模別では大企業は50.4と節目の50を上回ったが、前月よりも0.7ポイント低下。中堅企業、小規模企業は50を下回っている。
中国国務院発展研究センターの張立群研究員は「今後の景気に一定の下押し圧力があることを示した。ただ全体では節目の50を上回っており、景気はなお安定に向かう過程にある」との見方を示した。
一方、英金融大手HSBCが1日発表した6月の中国のPMI確報値は48.2と速報値(48.3)を0.1ポイント下方修正した。2カ月連続で50を下回り、9カ月ぶりの低水準。低調な輸出を背景に、政府公認団体の調査より民間調査で景況感の悪化が鮮明になっている。
HSBCのPMIは調査対象に中小企業や輸出企業が多いため、景気動向を敏感に反映しやすい。