胆管がんを労災認定へ 発症メカニズムほぼ解明
厚生労働省は14日、大阪市の印刷会社に勤務し胆管がんを発症した16人について月内に労災認定することを決め、元従業員らは早期認定に安堵の表情を見せた。同省の専門家検討会は化学物質による発がんメカニズムをほぼ解明。ただ、労災の判定基準を示すには至らず、同省は残る労災申請者について職場などの実態を踏まえて個別に判断していく方針だ。
検討会がまとめた報告書によると、胆管がん発症の原因とされたのは化学物質「1、2ジクロロプロパン」と「ジクロロメタン」。印刷機のインクを落とす洗浄剤に大量に含まれていた。検討会は2つの化学物質について「発症原因と医学的に推定される」とした。
この2つの化学物質を吸入すると解毒作用のある肝臓で主に分解されるが、高濃度になると肝臓だけでは追いつかず、胆管内にある酵素も分解に加わる。この分解の過程で胆管の細胞ががん化すると考えられるという。
海外の文献などから、胆管内の酵素も働く高濃度の状態は1、2ジクロロプロパンが150~250PPM(PPMは100万分の1)、ジクロロメタンが400~500PPMと推測している。
大阪市の「サンヨー・シーワィピー」の元従業員ら16人は、3年8カ月~13年2カ月の長期間にわたり1、2ジクロロプロパンが高濃度になる換気が不十分な地下作業場で作業しており、発症との因果関係を認めた。
厚労省によると、印刷会社に勤務し、胆管がんを発症したとして労災申請したのは2月末現在で64人(うち申請時の死亡39人)。今回の16人(同7人)を除く残る48人(同32人)が検討会で今後判断される。
厚労省幹部は今回の労災認定で「一律に基準や目安が定まったわけではない」と説明。労災申請が出ている他の45社の労働環境は明らかになっておらず、「調査報告を待って個別に判断していく」としている。
今回の問題では同省研究班による疫学調査も進行中。検討会座長を務めた産業医学振興財団の桜井治彦理事長は「化学物質と胆管がんの関係が十分解明されているとは言い難く、新たな知見の収集に努める必要がある」としている。
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サンヨー・シーワィピーの代理人弁護士は14日、今後の対応について「労災決定され次第、可及的速やかに記者会見する」とコメントした。
申請の時効なくすべき
胆管がん問題の調査にあたった熊谷信二・産業医科大准教授の話 労災認定は当然。職業病の場合は潜伏期間が長いため、退職後に発症するケースや発症しても職場環境が原因と気付かないケースも多く、労災申請の時効はなくすべきだ。
未規制の化学物質についても一定の基準を超えていれば対策を取るように求める必要がある。悲劇が起こってから規制するのでは遅い。