福島原発の高濃度汚染水が外洋に 東電、可能性認める
東京電力福島第1原子力発電所で地上のタンクから高濃度の放射性物質を含む汚染水が大量に漏れた問題を受け東電は21日、汚染水が近くの排水溝を通じて外洋に流れた可能性を初めて認めた。東電はタンクの外に出た約300トンの汚染水の大半は地中に染み込んだとみてきたが、排水溝の内部で毎時6ミリシーベルトの高い放射線量が計測された。
原発の排水溝は堤防に囲まれた港湾内ではなく、外洋と直接つながっている。問題のタンクから汚染水の漏洩は続いている半面、漏れた箇所や原因はまだ突き止められていない。
東電によると、地上で貯蔵タンクが並ぶ一帯の脇に雨水などを外洋に流すための排水溝がある。東電が汚染水漏れが明らかになったタンク周辺の空間放射線量を計測すると、排水溝の脇で最大毎時96ミリシーベルトの極めて高い線量を検出。その後、排水溝内で高い線量が判明し、汚染水の流れを裏付けた。排水溝にはふたがなかった。東電の関係者は「外洋に流れた可能性が高い」としている。
原子力規制委員会の更田豊志委員は21日午前の定例会合で「排水溝からは、いきなり海洋に出てしまう。きちっと確認する必要がある」と述べ、周辺の状況を総点検するよう促した。東電は相沢善吾副社長が同日午後の記者会見で汚染水漏れを受け改めて謝罪するとともに、相沢氏が現地に常駐し、対策を抜本的に見直す考えを示した。
海外では海洋汚染への懸念が広がっている。外交官出身で規制委の大島賢三委員は21日の会合で「韓国、欧米でも福島汚染水の問題が報道され始めている。国の名誉や評判にとっていいことではない」と指摘した。
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