電力4社の5原発10基再稼働、規制委が審査会合
原子力規制委員会は16日、原子力発電所の再稼働に向けて新規制基準に適合しているかを評価する初めての審査会合を開いた。安全審査を申請した北海道電力、関西電力、四国電力、九州電力の5原発10基について、各社が申請内容を説明。規制委は地震・津波への備えや、重大な事故への安全対策を確認する。審査は半年程度かかる見通し。
会合ではまず九電が川内1、2号機(鹿児島県)の申請書の内容を島崎邦彦委員長代理らに説明した。続いて北電、四電、関電も順番に説明。いずれの原発も新規制基準を満たしていると主張する。原子力規制委は原発ごとに申請内容を詳しくチェックする。
九電の川内1、2号機で焦点となるのが、事故の際に指揮拠点となる「緊急時対策所」。当初は中央制御室の横の会議室にする計画だったが、九電は急きょ代替施設を9月までに建設することにして、未完成のままで申請した。
会合で原子力規制庁の担当者は「対策所の指揮命令系統や収容能力を確認したい」などと語った。活断層については九電側は「敷地内の詳細な調査で、活断層はないことを確認した」と述べた。
北電は泊1~3号機(北海道)のうち、新しい3号機を1、2号機より審査を優先するよう要望、今冬の再稼働を目指す。3号機の緊急時対策所は、隣の1、2号機の建屋にある中央制御室横の会議室を利用。代替対策所が完成する2014年3月まで1、2号機の運転は見送る。津波については海底の地形を詳しく調べた結果、従来想定の高さ9.8メートルより低い7.3メートルの津波しか到達しないと下方修正した。
関電は大飯3、4号機(福井県)で想定する地震の規模について、規制委が求める活断層の3連動による759ガルではなく、2連動による従来試算の700ガルのまま申請した。高浜3、4号機(同)では敷地の高さ3.5メートルを超える津波が襲う可能性があるとした福井県の指摘を反映せず、従来通りの2.6メートルとした。両原発は敷地内の活断層の問題もある。
四電は伊方3号機(愛媛県)の津波想定を従来の3.5メートルから4.1メートルに引き上げたが、敷地が10メートルと高いため防潮堤は不要とした。同原発は今回申請した原発で唯一、免震棟が完成済みで、緊急時対策所に利用する。
12日に九電が申請した玄海3、4号機(佐賀県)は初回の会合では扱わず、次回以降の会合で審査が始まる見通し。