24歳女性、ネット依存の8年間振り返る
不登校や昼夜逆転
食事や風呂以外はインターネットでゲーム漬け。揚げ句は登校を拒否し昼夜逆転の生活も送った。東京の女性(24)がネット依存となった小学校6年生からの8年間を振り返った。
小6の同級生に誘われパソコンで始めたチャット。まるで会って会話をしているようで、没頭した。「オンラインゲームやろうよ」。ネット上の知人の一言が依存生活の始まりとなった。
学校から帰るとすぐにパソコンをつけた。ゲームの会話機能で学校の悩みを相談。「いじめられているかも」「ガンバ!」。常に明るい声をかけられた。学校より楽しかった。中学2年の夏から不登校になり、さらにネットにのめり込んだ。
ネットではフリーターや大学生も多く、寝ようとすると「もう抜けるの? まだやろうよ」と誘われた。画面を切れず、仮想の人間関係を保った。朝8時まで画面に向かった。ゲームはモンスターと戦う架空の世界。勝てば経験値や疑似通貨がアップ、自分の分身を変貌させ楽しんだ。
勉強があまりできなかった。何となく劣等感があったが、ゲームの中では、勝てば皆に称賛された。「認められたいという思いがネット依存の理由だったのか」と、今では思う。
そんな日々を変えたのは、18歳で通った高卒の資格を取るサポート校だった。障害、不登校、いじめ、人間関係のもつれ……。いろいろな問題を抱えた者が同じ教室にいた。「こうした人たちを助ける仕事に就きたい」。大学に進学し、心理学を専攻。授業やリポート提出に追われるうち、ネットへの依存はいつしか薄れた。
女性はその後、ネット依存の危険性を周知するセミナーで活動も始めた。ネットでの交流は社会的現象だが、女性は今、スマートフォンさえ持たない。「絶対にはまって昔みたいに依存してしまいそう」。予防線を張り、踏みとどまっている。〔共同〕