原発・エネルギー供給の将来像は 読者フォーラム(3)
福島県での原発事故から2年4カ月がたちました。原発の安全性に不安を抱く国民はなお多い一方、日本経済の再建に向けて経済界は電力の安定供給を求めています。「読者フォーラム」の3回目は、エネルギー政策について皆さんのご意見をお聞かせください。
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昨年12月の衆院選からまだ半年とあり、自民党の参院選公約の大半は衆院選公約の再掲です。その中でエネルギーに関する記述はかなり書き換わりました。
《衆院選》
○原子力に依存しなくてよい経済・社会構造を目指す。10年以内に電源構成のベストミックスを確立する
《参院選》
○資源・エネルギーの多様で多角的な供給構造を確立する
○安全と判断された原発の再稼働は国が責任を持って地元自治体の理解を得られるよう最大限努力する
前者を読むと「原発をできるだけなくす方向で努力するんだな~」という印象を受けます。後者は原発再稼働に軸足を置いているようにみえます。
衆院選で原発の扱いが大きな争点にならず、原発ゼロを掲げた政党の支持も伸び悩みました。自民党は国民のニーズは電力確保に重きがあると判断しました。
他党は原発をなくす方針です。与党の公明党の公約は「原発依存度を下げる」という書きぶりにとどめましたが、原発の40年寿命を順守すると付言し、結果としていずれ原発はなくなるという論理構成にしました。
野党はみんなの党が2020年代、民主党と日本維新の会は2030年代と、期限の切り方に若干の違いはありますが、原発をなくすと公約に明記しました。
原発存廃の是非は成長戦略でも違いを生んでいます。自民党はインフラ輸出を重視しています。念頭にあるのは原発、新幹線、水道です。みんなの党は「国家主導の原発ビジネスはしない」と明言。民主党はインフラ輸出に原発を含むかどうかで党内合意ができませんでした。