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東電、赤字回避へ焦り 柏崎刈羽の再稼働申請表明

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東京電力が新潟県にある柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に向け動き出した。広瀬直己社長は2日記者会見し「(7月8日の)新規制基準の施行後、速やかに安全審査の適合申請をする」と表明。再稼働に慎重な新潟県の了承は得ておらず、早期申請を急いだ格好だ。広瀬社長は5日に同県を訪れる予定だが、地元の反発は強く道のりは険しい。今年度の赤字回避を求める金融機関の圧力も増し、難しい経営のかじ取りを迫られる。

柏崎刈羽原発の全7基のうち申請対象となるのは最新型の6、7号機。広瀬社長は「福島第1原発の事故の反省と教訓に立ち、最大限の安全対策を取り込んだ」と強調した。再稼働に不可欠なフィルター付きベント(排気)装置は2013年度内に設置できるという。

かねて東電は新潟県の了承を得た上で、申請を表明する考えだった。だが申請準備を進める東電の動きに対し、泉田裕彦知事の態度はむしろ硬化。排気装置設置も安全協定の事前了解事項と指摘、「事前了解はしない」と主張し始めた。

「(現状のまま)原発が全然動かなければ、今の料金体系では無理だ」。広瀬社長は会見で苦しい現状を強調し、再値上げの可能性も示唆した。

背景にあるのは金融機関からのプレッシャーだ。今期に3期連続の経常赤字となれば、主要取引銀行から融資を打ち切られる可能性がある。

再稼働せずに総合特別事業計画で国や金融機関に約束した13年度の黒字化を達成するのは極めて困難。1基あたり1年間の停止で960億~1320億円の減益要因となる。金融機関は、再稼働が遅れ収益改善が見込めなければ「再値上げすべきだ」と迫っていた。

すでに北海道、関西、四国、九州の4電力が新規制基準の施行直後に申請する方針を表明済み。対応が遅れれば安全審査の「第1陣」に入る可能性すらなくなるとの危機感から申請表明へと踏み出した。

広瀬社長は5日に新潟県、柏崎市、刈羽村の3首長を訪ねる予定。「申請の意向や安全対策について丁寧に説明したい」との考えを示したが、了承を得られない場合の対応は明言を避けた。

安全審査では新規制基準の施行前に設計を始めた排気装置が基準に適合するかどうかに加え、断層問題も焦点になりそうだ。東電は原子炉建屋の下を通る最新の断層がある地層は30数万年前から約20万年前に形成されたとしているが、新基準では活断層の証拠が見つからない場合、40万年前まで遡って調べることになっている。

7月21日に投開票される参院選の後をにらみ、ある東電幹部は「最終段階では国が全面的に前に出て、自治体を説得してほしい」と語る。

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