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ベネズエラの「借り」、米で返す 神鋼、天然ガス製鉄で攻め

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米子会社ミドレックスに対する神戸製鋼所の期待が高まっている。ミドレックスは石炭の代わりに天然ガスを使う製鉄プラント会社。二酸化炭素(CO2)排出量が少ない環境面での特性に加え、「シェール革命」を背景とした天然ガス価格の下落で関心が高まり、今月には大型案件の受注に成功した。さらに北米だけで約10件の引き合いを抱える。神戸製鋼がミドレックスを買収して今年で30年。その間には、ベネズエラで自ら出資したプラントが国有化される憂き目にもあったが、ここに来て追い風が吹き始めた。

「新たに60基のプラント需要」

「地元米国で連敗はできない。今回は背水の陣を敷いた」

神戸製鋼でミドレックスを統括するエンジニアリング事業部門の担当者はこう明かす。今回というのは、オーストリアの鉄鋼会社、フェストアルピーネが米テキサス州で建設する直接還元鉄プラントの案件。今月、競合を退けて受注に成功した。米国では2010年、電炉最大手のヌーコアの案件を競合にさらわれていた。

一般的な高炉による製鉄法は、石炭を原料にしたコークスを使って鉄鉱石中の酸化鉄から酸素を奪う。これに対してミドレックスの直接還元法は、天然ガスを使う。得られた還元鉄は、主に電炉でスクラップとともに鉄源として使われるほか、高炉にも供給できる。

ミドレックスは直接還元法の市場で6割(生産量ベース)を握る最大手。天然ガス還元に限れば8割を占め、競合は実質的に1社だ。

同方式の製鉄所は経済性から、天然ガスが安定かつ安価に調達できる地域に立地が限られていた。発祥の地である米国では90年代ごろから新規の立地が止まり、中東などに偏重。製鉄法としては傍流の域を出なかった。ところがシェールガス革命で風景が変わりつつある。

「世界の還元鉄生産は25年から30年ごろまでに2億トン台に達する。新たに60基のプラント需要がある計算だ」

神戸製鋼の川崎博也社長は期待を隠さない。現在の還元鉄生産量は7000万トンを超えた程度。過去10年間で6割程度増えたとはいえ、世界の粗鋼生産量の15億トンと比べれば大きな存在感があるとは言えない。だが世界各地でシェールガスの産出が広がれば、米国と同様、天然ガス価格が下落して立地余地が広がる。

プラントの建設費は還元鉄の生産能力年間100万トンで100億円弱が目安。今後15年でざっと1兆円分の商談が出てきてもおかしくない。

 もう一つミドレックスの追い風になるのが温暖化ガス排出削減の流れだ。鉄鋼業は産業界の中でも主要な温暖化ガス排出源。例えば日本でも全産業の4割を占める。

ミドレックスを含む天然ガス還元プロセスの環境面でのメリットは、同じ量の鉄を得るのに二酸化炭素(CO2)の排出量が半分で済むことだ。高炉法では酸化鉄から離れた酸素が全て炭素と結びついてCO2になるが、天然ガスの場合、半分は水素と結びついて水になる。

自社で還元鉄生産は悲願

フェストアルピーネが米国での還元鉄プラント立地を決めたのも、まさに温暖化ガス対策が背景。厳しい目標を掲げる欧州域内での排出を避けることができるうえ、プロセス自体の排出量も少ない。もともとブラジルから欧州に鉄鉱石を運んでいたことを考えれば、米国に寄り道しても輸送時の排出量も大きく増えない。

製鉄会社である神戸製鋼だが、直接還元の事業は今現在、プラント建設だけ。実は自社で還元鉄生産を「もう一度」手掛けることは悲願でもある。

同社は過去に鉄鉱石と天然ガスの両方を産出する南米ベネズエラで二つの還元鉄プラントに出資していた。一つは「BOT(建設・運営・譲渡)」方式で20年にわたり運営。07年に国営公社に引き渡した。だがもう一つのプロジェクトは09年、当時のチャベス大統領が突然国有化を宣言し、最終的に11年に売却を余儀なくされるという苦い経験をした。

川崎社長は米国などで「パートナーを見つけて、還元鉄事業を手掛ける可能性は十分にある」と話す。神戸製鉄所の高炉休止を決めるなど厳しい経営環境に置かれている神戸製鋼だが、30年前にまいた種が思わぬ所で実を結ぶかもしれない。

(産業部 檀上誠)

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