中国の鳥インフル、飛び火警戒 北京で初の感染者
【北京=山田周平】中国・北京市で13日、鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)の感染者が初めて確認された。上海市とその周辺にとどまっていた感染が首都に飛び火した形だ。渡り鳥がウイルスを運んだ可能性が指摘されているが、どのような経路で感染したかは分かっていない。衛生当局は感染地域の拡大で社会不安が広がるのを懸念。早めの情報公開に努めている。
国家衛生計画生育委員会によると13日夜時点で確認されたH7N9型への感染は49人。うち11人が死亡した。
北京でH7N9型の感染が確認された女児の両親は生きた家畜を販売する仕事に従事していた。上海などの感染例との関連は不明だ。ただ、国営新華社は13日、現在は渡り鳥が南から北に向かう時期だとの北京市衛生局の専門家の話を伝えた。専門家は北京で別の感染が起きる恐れがあるとも語った。
上海では、すでに死亡した女性の夫も感染していた例が新たに明らかになった。市政府は人から人への感染だと判断する根拠はないとしている。
衛生当局はこうした感染情報の開示には前向きだ。北京市衛生局が感染が疑われる事例が市内で初めて出たと発表したのは13日未明。同日朝には記者会見を開き、感染が確認されたことを明らかにしている。
中国は2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した際、情報開示の遅れなどで国内外から強い批判を浴びた経緯がある。3月に就任した習近平国家主席らの新指導部は、同じ失敗を繰り返さないことを意識しているようだ。
一方、北京の日本大使館は13日、在留邦人向けに、外出時には人混みを避け、マスクをつけることなどの注意事項をホームページに掲載した。