原発再稼働、地元説明は「国の責任」 茂木敏充経産相
茂木敏充経済産業相は28日、日本経済新聞社などとのインタビューに応じた。原子力発電所の再稼働や環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加問題を巡り、民主党政権との違いを強調する一方、電力システム改革は現在の路線を踏まえて発送電分離などに取り組むとした。
――原発再稼働は地元調整がカギ。どう進めるか。
「地元説明は国がしっかりと責任を果たす。原子力規制委員会が安全と判断しない限り、その原発の再稼働はない。より厳しい国際基準に沿った新安全基準の下で規制委が安全と判断した場合、その判断を尊重して再稼働を進める」
――前政権の「原発ゼロ」目標はどう扱うか。
「民主党の原発ゼロは根拠がない。我々は3年間で省エネルギーの徹底、再生可能エネルギーの拡大を進め、10年以内に持続可能な電源比率を決める。エネルギー基本計画は総合資源エネルギー調査会などで検討する。(作成は)来年7月ごろに間に合うように考える」
――電力システム改革にはどう取り組むか。
「改革の大きな方向性はそんなにぶれないと思う。電力自由化の推進、送配電部門は独立性・中立性を高めていく。現実的なタイムスケジュールを描き、送配電分離の問題、料金規制の撤廃などをどうやるか考えたい」
――TPP交渉参加も課題だ。
「自民党と公明党の連立合意で、TPPは国益にかなう最善の道を求めるとした。除外品目ゼロはあり得ないのに、『聖域なき関税撤廃』から議論しだした民主党に問題があった。米国とはできるだけ早い段階で話し合い、関心事項を確認したい。(参加表明の時期は)タイムスケジュールありきで決めない」
――来年3月末の中小企業金融円滑化法期限切れ後、中小企業をどう支援するか。
「単純な金融支援だけではいけない。これまでは融資や保証が支援の中心。その重要性は変わらないが、目指すべきは『融資から投資へ』という流れ。研究開発から事業化までを融資だけでつなぐのは難しい。政府系金融機関の機能は今のままでいいか。どう資金を確保するか考えたい」
――経済再生への処方箋は。
「経済財政諮問会議で財政運営の基本方針を、日本経済再生本部で成長戦略や産業政策をそれぞれ作る。円高・デフレからの脱却、機動的な財政運営、成長戦略をしっかり組み立てたい。国として企業の研究開発、設備投資の面でできる支援策を考える」