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郵政・アフラックが提携発表 TPP交渉に追い風

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日本郵政は26日、米アメリカンファミリー生命保険(アフラック)とがん保険事業で提携すると正式に発表した。西室泰三社長は同日の記者会見で「新しいことができる可能性を内心期待している」と述べ、医療保険などへの提携拡大に意欲を示した。アフラック首脳は環太平洋経済連携協定(TPP)での日米交渉に好影響を与えると明言した。日米の金融大手同士の提携は今後の日米交渉にも追い風となる。

西室氏は会見で「がん保険で一番実績のあるアフラックとの協力関係の発展で、企業価値の向上が図れる」と強調。2015年の株式上場を目指す上でも「提携は大変意義深い」と述べた。

アフラックのダニエル・エイモス会長兼最高経営責任者(CEO)は郵便局への商品供給によって「販売網をさらに拡大できる」と話した。

日本郵政は08年から、アフラックのがん保険の取り扱いを始め、今は1000の郵便局で販売している。今回の提携で簡易郵便局を除く全国2万の郵便局と、かんぽ生命の79の直営店舗に販売先を順次広げていく。アフラックと専用商品も開発し、手数料収益を増やしていく計画だ。

米国はTPPの事前協議で「政府が出資する日本郵政グループが自由に新商品を出せば公正な競争を阻害する」と主張していた。

元米通商代表部(USTR)日本部長で現在はアフラック日本代表のチャールズ・レイク氏は会見で「国有企業の日本郵政と民間企業のアフラックが提携することは国際社会で意義深い事例として評価される」と主張。「政府間の交渉とは直接関係はないが、(日米交渉に)良い影響がある」と明言した。西室氏も日米間の懸案の解決に役立つという思いがあったのかと問われ、「結果的にそういうことはあったかもしれない」と答えた。

日本は8月下旬のTPPの次回会合に向け米国と2カ国協議を開くが、金融保険分野は中心議題から外れる見通しだ。

米国は日米保険協議で、死亡保険や自動車保険など日本の生損保が強い分野での規制緩和を迫る一方で、がん保険など「第3分野」での外資の保護を求めてきた。

今回もかんぽ生命保険のがん保険参入に声高に反対してきた裏で、米保険会社は郵便局という巨大な販売網の獲得に動いた。今回の提携で、アフラックと米メットライフアリコの米国勢が約8割のシェアを握るがん保険分野は外資優位の構図が維持される。

かんぽ生命と08年に提携し、がん保険の共同開発を検討してきた日本生命保険は26日、「かんぽ生命とは5年以上にわたり様々な面で協力をしてきた経緯があり、遺憾だ」とのコメントを発表した。

日本郵政とアフラックは今後提携委員会を発足し、取扱郵便局の拡大の時期や専用がん保険の商品内容を詰めていく。取扱局の拡大は今秋にも、専用商品の販売は来年秋にも始めたい考えだ。

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