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決済を握るのはだれか 米ネット金融革命前夜

アップルかウォルマートかVBか

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 5億人のカード情報を抱える米アップルが決済サービスに参入した。「iPhone(アイフォーン)」は財布の機能まで持ち始めた。だが、それはこれから起こる技術革新の序章にすぎない。手数料や敷居の高さ、処理の遅さへの不満から、規制業種の金融産業を変えようとするベンチャーがシリコンバレーを中心に次々と現れ「革命前夜」の様相を呈してきた。

「アップルペイお断り」 ウォルマートが対抗策

「アップルペイお断り」――。アップルが決済サービス「アップルペイ」を開始してから2カ月弱。北米では早くもこれと火花を散らすライバルが登場した。世界最大の小売りチェーン、ウォルマート・ストアーズだ。

同社が他の小売連合と組んで始めようとする「カレントC」は実証実験が最終段階だ。アップルは指紋と近距離通信による認証で、スマホをカード以上に安全な決済手段と位置づけ、金融機関から0.15%程度の手数料を取ることに成功した。だが、カレントCは、クレジット会社自体を外そうという試みだ。スマホの画面に表示したQRコードで本人確認し、支払いをする。支払額は客の登録口座からそのまま引き落とされる仕組みだ。

だが米銀大手ウェルズ・ファーゴ幹部はこうした動きにも冷静だ。「アップルペイはあくまで一つの選択肢。安全性の高いカードを作るための投資は続ける」。その裏には、米国でカードを使う習慣が強く根付いており、そう簡単に変わらないとの読みがある。実際、アップルペイの利用状況も順調とは言えない。

「多いときでもアップルペイを使うのは1割以下かな」(米薬局最大手ウォルグリーンのレジの店員)。調査会社インフォスカウトによれば、アップルペイを使える端末所有者のうち利用経験があるのは1割未満。年末商戦ピーク時の使用比率は5%弱にすぎない。

初動のつまずきで、"カード派"ベンチャーが息を吹き返している。複数のクレジットカードの機能を一枚で代替できるカードを開発するコインだ。米ベンチャーファンド、トランスリンクキャピタルの支援を受け、端末の量産体制に入った。

創業者のカニシク・パラシャー氏は「支払時に1回限りの暗号を導入するなど端末の安全性はさらに高められる。将来的には金融機関への技術供与も視野に入れている」と語る。

米決済大手ペイパル幹部のジョナサン・ルブラン氏は「高いレベルのセキュリティー、不正を見破るデータ解析能力など、金融サービス運営には莫大な開発費と経験が必要だ。他業種から簡単に参入できる分野ではない」と指摘する。ペイパルは数千人規模のセキュリティーやデータ解析の技術者を抱え、米連邦捜査局(FBI)などのOBも大量に雇っている。

「銀行抜き」送金も胎動

クレジットカード「否定派」と「前提派」が角を突き合わせる一方で、まったく別次元の革新も起こりつつある。

「ブロックチェーン(デジタル台帳)」。金融機関などに依存せず、当事者の口座間で資産移動ができる仕組みだ。ネット上でエンジニアが論文をもとに自然発生的に作り上げた一種の「公的データベース」だ。通常、人々が銀行に口座を持つのはその銀行が不正な行為をしないという信用があるからだ。だが、デジタル台帳は人々の膨大な取引データを蓄積し、常に更新、照合することでハッカーなどによる不正をはじき出す。支払いなどのデータを暗号化し、常に確認するため改ざんがほぼ不可能だ。生前の悪事や良い行いをすべて記録しておくという「えんま帳」のネット版と言えるかもしれない。

仮想通貨として有名なビットコインもこの仕組みを使っており、いまや700以上の関連ベンチャーが生まれている。

米グーグルも出資するリップルラボは国際決済を手掛けるアースポートと提携すると発表した。アースポートは米バンク・オブ・アメリカや英バークレイズなど主要銀の国際決済処理を受託する。

アースポートが銀行の決済処理でリップルを使えば、デジタル台帳の上で自動的に最安レートを提示するブローカーを選び出し、処理は5秒で終わる。取引データはデジタル台帳に安全かつ正確に、瞬時に記録される。2日以上かかり、セキュリティーも甘かった海外送金の裏側のシステムが大きく変わる。海外で働く出稼ぎ労働者など、多くの消費者にとっては手数料の大幅な引き下げと処理期間の短縮が期待できる。

従来型金融が活用開始

シリコンバレーの投資家マーク・アンドリーセン氏は「ビットコインは真の革命的技術。20年間変わらなかった金融業界を震え上がらせている。次の5年で大きな変化がある」と語る。だが巨大金融はこれに反論する。米銀大手JPモルガン・チェースでベンチャー投資を担当するエグゼクティブディレクターのピート・カセラ氏は「巨大な顧客網と取引を抱える我々がそう簡単に市場を明け渡すわけがない」と話す。

カセラ氏のもとには「金融業界を破壊するなどと失礼なことを言いながら驚くほど多くのベンチャーが投資を求め会いに来る」という。同氏は「既存の業界とどう組むかを考えた方が建設的じゃないか」と血気盛んな起業家を諭している。

興味深いのは、保守的とみられた従来型の金融機関が実は既にデジタル台帳を国際送金や決済の裏側で使い始めていることだ。

リップルラボを使った国際決済の仕組みには今年からすでに米地銀CBWバンク、独ネット銀フィドールなど3行が参入。リップルに通貨間の国際決済処理を委託する仕組みを試験運用している。CBWは来年にも本格的に採用する。

「決済処理を特定の機関が非効率に管理しているのを高度なプログラムで代替できるようになった」。リップルのクリス・ラーセン最高経営責任者(CEO)は新時代の到来を予言する。米銀大手ウェルズ・ファーゴ幹部はこう語る。「正直、ビットコインはどうでもいい。だが、その背後のブロックチェーンには非常に興味を持っている」

米有力金融ベンチャー、リップルに集まる期待と不安

金融機関を主な顧客としてあえて市場を絞り、既存の金融業界との共存を図る米金融ベンチャー、リップルラボはブロックチェーン技術(同社用語では「レジャー(デジタル台帳)」)を使ったベンチャー企業としては最も有望視されるものの一つだ。米グーグル系のファンドやブロックチェーン関連の多くのベンチャーを育てている著名投資家マーク・アンドリーセン氏らも出資している。

だが、今年に入り創業者の一人ジェド・マカレブ氏が「倫理的な問題がある」として辞めた。同氏は「リップルのデータの処理能力は不十分で将来的な取引の急激な拡張に耐えられない」と警告を発している。また同氏はリップルが生み出すデジタル通貨としての価値を少数の人々が独占する統治構造も問題視する。

リップル側は80人程度の開発者で十分との立場で意見が分かれている。リップルは精鋭を集めており、トップエンジニアのデービッド・シュワルツ氏はメッセージの暗号化保存技術の専門家で、米国家安全保障局(NSA)に助言していたほか、かつての顧客には米軍や米連邦捜査局(FBI)、北大西洋条約機構(NATO)などがある。

来年から国際送金の決済処理にリップルを本格的に使う予定のCBWバンクのスレッシュ・ラマムルティ会長は「処理能力に問題はないと考えている」と語る。

リップルの関連サービスを育成する米コンサルティングベンチャー、ワンミリオンゲートウェイズの創業者アンドリュー・ホワイト氏は「リップルのピンチは我々のビジネスチャンス。サーバー網の増強が必要になれば委託先はいつでも用意できる」と語る。ベンチャーのリップルの先行きにはリスクもあるが、それを補完する関連企業の「エコシステム(生態系)」も生まれつつある。

(シリコンバレー=兼松雄一郎)

[日経産業新聞2014年12月11日付に加筆、再構成]

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