内閣府、全柔連会長に辞任勧告 「8月末までに」
内閣府の公益認定等委員会は23日、不祥事が続く全日本柔道連盟(全柔連)の上村春樹会長を呼び、8月末までに責任の所在を明らかにし、適切な措置を講じて体制を再構築するよう求める勧告書を手渡した。事実上の辞任勧告で、山下徹委員長は「8月末までに全柔連が出す答えを注視する」と述べた。
上村会長は、稲田朋美行政改革担当相から全柔連の自浄能力の欠如を指摘され「心からおわび申し上げます」と謝罪した。ただ8月末での辞任については、報道陣に「10月の理事会が大きなヤマになる。今はいろんなことが動いている最中だ」と語り、会長にとどまり「組織改革」を優先させる考えを示した。
同委によると、2008年12月からの新法人制度で公益認定法に基づく勧告は初めて。勧告に従わない場合、同委は改善を命令し、それでも改善されなければ公益認定を取り消す。高野修一事務局長は「事態は重大深刻だ。なるべく早期に立て直してほしい。全柔連には自己決定能力を示してほしい」と指摘した。
女子日本代表での暴力指導問題に対し、勧告書は暴力などの不当行為に依存せずに選手を適正に育成する「技術的能力」の回復を求めた。
助成金の不正受給では、組織のコンプライアンス(法令順守)を徹底し、必要な費用を適切に計上する「経理的基礎」の確立を要求。問題のあった助成金6055万円を日本スポーツ振興センターに速やかに返還し、全柔連に生じた損害については責任者に賠償請求を検討することも求めた。
いずれも8月末までに措置を講じ、報告するよう勧告した。
全柔連は30日に臨時評議員会を開き、上村会長や多数の理事への解任動議を審議する。〔共同〕