アメリカン航空とUSエアが合併へ 世界最大手に
日航との提携は継続
【ニューヨーク=杉本貴司】航空世界4位の米アメリカン航空は、同10位USエアウェイズと合併する。航空会社の再編としては過去最大規模となる。新会社は、マイレージの利用を含めて日本航空との提携を継続する見通し。輸送実績では米ユナイテッド航空を抜いて世界最大の航空会社が誕生し、デルタ航空を含む米航空3強で世界三大連合を形成する。米国勢を中心に業界再編が加速してきた。
アメリカンの親会社AMRとUSエアの取締役会は13日、合併を承認した。米メディアが一斉に報じた。アメリカンが存続会社となる。両社の株式価値は合計で110億ドル(約1兆円)に達するもよう。
USエアのダグ・パーカー最高経営責任者(CEO)が新生アメリカンのCEOに就任し、現アメリカンCEOのトム・ホートン氏は会長に就く方向だ。米当局の承認を得て、新生アメリカンの統合新会社が発足する。
AMRは2011年11月に米連邦破産法第11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請、経営再建を進めてきた。規模で劣るUSエアが統合を打診し、昨年8月末から正式に統合交渉を進めた。
米航空業界では、デルタ航空が08年にノースウエスト航空を買収して世界首位に浮上。10年にはユナイテッド航空がコンチネンタル航空を取り込み首位となったが、今回再び首位が入れ替わる。アメリカンとUSエアの統合により、格安航空会社(LCC)など新興勢力を除いた従来型の航空会社は3社に集約される。
世界の航空会社が提携網を作る航空連合では、アメリカンが「ワンワールド」に、USエアが「スターアライアンス」に所属する。日本航空はワンワールドに所属し、アメリカンとも太平洋路線の共同運航やマイレージ連携などで提携している。
アメリカンが存続会社となり、日航との提携は維持する見通し。一方、スターアライアンスに属する全日本空輸は「存続会社と協議する」としているが、一定期間の後にUSエアと提携を解消する可能性もある。
航空連合では、現在首位のユナイテッドがスターアライアンス、同2位のデルタが「スカイチーム」に所属する。新生アメリカンを含む米3社が三大連合を主導する形となる。デルタは昨年12月、航空連合に属さない新興の英ヴァージン・アトランティックに49%を出資することを決めたばかり。今後は海外勢との合従連衡が進みそうだ。