複数警官が虚偽調書、公判で偽証の疑い 大阪府警
大阪府警堺署の留置場で起きた公務執行妨害事件で、実際には現場にいなかった警察官が手続きに関わったとする虚偽の調書が作成され、公判でも警察官が虚偽内容に沿った証言をしていたことが9日、府警への取材で分かった。府警は虚偽有印公文書作成・同行使や偽証の疑いで調べる。
府警によると、昨年12月2日、堺署に覚せい剤取締法違反の疑いで勾留されていた男(40)が留置場で騒ぎ、留置管理課の巡査長(33)が留置保護室に収容しようとしたところ、殴られたため、公務執行妨害容疑で現行犯逮捕した。
同日は日曜日で、当直署員が事件処理を担当し、現場にいた巡査(25)にも状況を聴いて「巡査長が独断で保護室への収容を決めた」とする調書を作成した。
しかし、上司の警部補(50)が調書を作り替えるよう指示。実際には現場にいなかった階級が上の巡査部長が指揮し、収容手続きが進められたとする虚偽の調書が作られた。より適切な対応をとったと強調する意図があったとみられる。
その後、事件処理を引き継いだ刑事課が留置場で実況見分し、巡査部長は当時現場におらず、調書内容は虚偽であることが判明したが、刑事課員は警部補が指示したことを隠し、「上司に注意されるのを恐れ、巡査長と巡査が口裏を合わせて、巡査部長が指揮したことにした」とする2つ目の虚偽調書を作った。
男は公務執行妨害罪などで起訴。今年3月、大阪地裁堺支部の公判で、巡査長と巡査は2つ目の調書に沿って証言した。
公判は結審し、5月7日に判決期日が決まっていたが、府警の内部調査で虚偽調書の問題が発覚。府警が大阪地検に判決の延期を申し入れ、検察側が再開を申し立てて期日は取り消された。今月下旬に改めて巡査長らの証人尋問が実施される。